ベルナール・イノーのロードレース

ベルナール・イノーのロードレース

1989年NHK出版より初版の本(現在は絶版)。ツール・ド・フランス5勝(1978年、1979年、1981年、1982年、1985年)ジロ・デ・イタリア3勝(1980年、1982年、1985年)1980年世界選手権プロロード優勝、1981年パリ・ルーベ優勝・・・etc 1970年代後半から1986年の引退までロードレース界のスーパースターでした。

1985年に初めてLOOK PP-65ビンディングペダルを実戦で使用。セライタリア・ターボ→サンマルコ・ロールスのサドルの変遷も即座に後追いした大ファン、La vie Claire時代にイノーが乗っていたLOOK KG86 Kevlar2000が私の初カーボンバイク(当時のLOOKはTVT製、今でも乗れる状態で所有しています)、ポジショニングやトレーニングなど、とても参考になる本でした。スポーツ栄養学や心拍トレーニングなど、ロードバイクに関する全てを網羅した初めての本でした。

1985~86年のツールはNHKで放送され、それまで雑誌の写真でしか見る事ができなかったヨーロッパのプロロードレースシーンが初めて日本のお茶の間でテレビ放送されました。1985年第17ステージのゴール前でイノーが落車、顔面血だらけでゴールするイノーの映像はロードバイクに興味のない人でも印象に残ったはずです。

身長173cm股下83cm、安静時心拍数34回/分、最大酸素摂取量90ml/kg/minのイノーの乗る自転車は

フレームスケルトン表2.1

N:サドル高さ:735mm

R:サドル後退寸法:80mm

T:サドル先端~ハンドルクランプ後端:553mm

シートアングル:72.2°

トップチューブ長:565mm

ステム長:110mm

クランク長:172.5mm

股下83cm×0.885=73.4cmなのでサドル高さはトップレベルの選手として納得ですが、(初心者は0.86、一般ライダーは0.875の係数がサドル高さ算出のめやす)角度の寝たシートアングル、80mm!!と驚くほどのサドル後退幅、長いトップチューブと553mm!とこちらも驚く遠いハンドル距離。イノーの美しくダイナミックなライディングフォームは、このポジショニングから生み出されていたんです。しかし、真似できるフォームではないし、今ではあまり参考にならないかも・・・しれません。ビキナーが真似できるフォームでもありません。身長186cmのクリストファー・フルームのサドル後退寸法が78mmです。

踵を大きく煽ったアンクリングを多用するイノーのペダリングも、現在推奨されている足首の角度を一定にするペダリングとは異なります。

現代のレースシーンで主流になっている、ハンドルを極端に下げて上半身と上腕の角度が90°になるポジションとは大きく異なります。※上半身と上腕の角度が90°は一般ライダーにも当てはめてもよい算出法だと思いますが、高出力W数を稼ぐ&空気抵抗を可能な限り減らす=レースでの勝負の世界でなければ、一般ライダーはここまでハンドルを下げる必要はないと思います。常用速度や年齢等を考慮して長時間でも苦しくならないハンドルの高さにした方が良いと思います。

ちなみに身長170cm股下78cmの私はといえば、

N:サドル高さ:675mm(股下78cm×0.875=68cmから5mmマイナス)

R:サドル後退寸法:48mm(結構後退させています)

T:サドル先端~ハンドルクランプ後端:475mm(腕の長さが違うとは言え、胴は私の方が長いのに・・・)

1985年にイノーが乗っていた自転車は自転車文化センターに所蔵されています。

ちなみにLa vie Claireで検索すると日本の結婚式場(スペルが違う)やカフェが上位にヒットしますが、当時のスポンサー企業La vie Claireはフランスの自然食品、健康食品メーカーです。当時は鳩のマークにLOOKと同じモンドリアンカラーがCIでした。イノー引退後には日本の東芝がスポンサードしていた時期もあったプロチームです。チーム名はTOSHIBA LOOK La vie Claire、 画像検索では当時のウェアがヒットして懐かしさが込み上げてきます。